大判例

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名古屋高等裁判所 昭和26年(う)241号 判決

依つて按ずるに、憲法第十四条第一項に依れば「すべて国民は法の下に平等であつて、人権、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的、又は社会的関係において、差別されない」と規定してあるから、我国法の下に於ては何人も平等の取扱を受くべきことは、多言を要しないのであるが、この事は総ての共犯者が、同時に起訴せられ、又は同時に処刑せられることを必要としているのではない。蓋し犯罪の捜査は犯人の居所不明その他の理由により、各人に就き、差異の生ずることは自然の趨勢であり、従つて其起訴も亦各人に就き別々となるべきは当然の帰結であるからである。殊に裁判所は起訴された事件に就いてのみ審判を為し得るに過ぎないから、共犯者の一人に就て処刑がなくとも、他の共犯者に対し、刑を科し得ることは自明の理である。

之を本件に就て看るに、被告人が仮りに他人の勧誘に基き、従属的地位に於て為した犯行であるとしても、原審認定の事実に依れば、額面十五万円の約束手形二通及額面十七万円の約束手形一通を偽造し、その中一通(額面十五万円)を交付行使したものであつて、金員騙取の目的こそ遂げなかつたが、其危険性は極めて重大であると謂はなければならない。即ち原審の量刑は事案に照し寔に相当であつて、人種的偏見に基いた不当の裁判であると謂うことができない。従つて弁護人の論旨は理由がない。

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